Oticon 補聴器ユーザーの聴取意図を理解し、それに応じて対応できる革新的な新しい補聴器 Intentを発表 [2024/2/10]

Oticon Intent HPより

Oticonは、補聴器ユーザーの聴取意図を理解し、それに応じて対応できる革新的な新しい補聴器を発表します。
困難で騒がしい環境でも、Oticon Intent により次のことが可能になります。

  • 周囲の音に耳を傾けながら、シームレスな認識を持って群衆の中を移動します。
  • 音声へのアクセスが向上し、邪魔にならないようにバランスのとれた背景音により、アクセス可能な状態でグループとのチャットを開始できます。
  • 周囲の騒音の中でも発言者の声に完全にアクセスして、1 人の人とより親密な会話を始めます。

LE Audio Bluetooth を備えた次世代の Bluetooth® オーディオを提供。音楽、オーディオブックなどを直接ストリーミングできます。Oticon Intent 補聴器をダブルタップすると、電話に出るのが簡単になります。改良された急速充電により、Oticon Intentは、わずか 2 時間の充電で丸 1 日以上のバッテリー寿命を実現します。

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データシート:
Oticon Intent の 4D センサー テクノロジーとディープ ニューラル ネットワーク 2.0 13
Oticon Intent でパーソナライズされたフィッティングの機会を拡大
オーティコン インテント™ – 臨床証拠

上記が公式発表ですが、Hearing Trackerのフォーラムでは大変興味深い議論が行われています。中でもVolusianoさんという補聴器装用されているエンジニアの方のコメントがすごく勉強になったので、Volusianoさんのコメントを中心に私なりに要約し、紹介させていただきます。

  • 通常、4年毎のベースモデル・チェンジ、2年毎の改版だが、今回 Oticonは昨年2月のRealの投入から僅か1年で新製品を投入してくるのは異例なことだ。Star Keyの1回での充電で51時間のバッテリー寿命や、ReSoundのLE Audioに対抗したものかもしれない。
  • Oticonの掲げる「Brain Hearing」について、Oticon補聴器の機能に懐疑的なコメントに対して、Volusianoさんは以下の様にまとめています。
  • Oticonの思想は、(大半の)聴覚障害者は「聴覚」の障害であり、聴覚から入った音を処理する脳の障害ではない。脳は複数の音声やノイズを分別する能力を(聴覚障害者も)持っている。聴覚を通して、本来の脳に届く複数の音声や周りの音をお互いが打ち消すことなくバランスよく・雑味なしに脳へ届けることができれば、脳は本来の処理をできるというのが「Brain Hearing」。
  • このため、オープンパラダイムという概念を導入している。オープンパラダイムは周囲の複数の音声を優先順位なく取り込む。その上で各音声から拡散されるノイズを除去する。また、大きな音が他の音を打ち消し邪魔しないように小さくする、小さな音を大きくして他の音とのバランスを取る。
  • 実現手段として、ビームフォーミング(所定の方向に指向性を高める)を雑音源へ向けて抑制する。さらにDNNにより雑音を減衰させる。Oticonのオープンがビームフォーミングを雑音源へ向けるのに対して、Phonakは音声源へ向けており、周囲雑音が強くなるとビームフォーミングの幅を狭くする。あくまでも周囲の音の取込みを保つというOticonとの大きな違いがある。
  • 新しく発売されるIntentでは、従来のセンサーに対して新たにジャイロセンサーを追加し、補聴器装用者の体と頭の動きをセンスし、絶えずオープンシステムを最適化させる。また、DNNのチャネル数を増やしより雑音の減衰を可能としている。

ここからは、私の所感となります。Hearing Trackerフォーラムの議論から、Oticonのオープンの考え方・実現手段のアウトラインを理解することができました。(同じオープンシステムとして、Phonakとの考え方の違いについても)
そして何よりも、全ての音を取り込んだうえで、脳で聞き分けるというのは将に私たち人工内耳装用者が実践していることであって、Brain HearingというOticonの思想により親しみを持つようになりました。

Oticonについては、私がお世話になっている先生から当時私が片耳だけの人工内耳だった頃、もう片方の補聴器はどのメーカーが良いかと尋ねたところ、Oticonを推されました。Oticonが得意としている空間処理で音源を捉え、その上で人工内耳を音源へ傾聴させるというものです。ペアリングやリモコンなどの相性からReSoundと考えていたので、当時意外に思ったことを覚えています。人工内耳と補聴器間で通信が可能になればまた状況は変わってくるかもしれません。

東京医療センターの南先生は、Oticon Realを試聴され「脳がハックされているみたいだ。」と仰っていました。周囲音をリバランスし、雑味を取り除いた音響空間はまさにバーチャルリアリティな世界に感じられたのかもしれません。
今回の Oticon Intentは、LE Audio対応した先行メーカへのアプローチとする向きもありますが、Oticonがけん引するオープンシステム+DNNは、従来指向性指向(ちょっと洒落ぽくなりましたが、)だったパラダムの大きな変化であり、万を満たしての投入とも思えなくありません。
最後に、オープンシステムはパーティ文化な米国だからこそ支持を得やすいのかなとも感じました。日本だとまず目の前の人へ集中なので、まだ指向性指向(笑)なのかな。。

余談:
Oticon Intentは2024年3月までに、PhilipsおよびBernafonへも投入されるようです。米コストコでの販売も間近ということになります。

強力な振動で知らせてくれる安価な目覚まし時計です。
2つの時刻をセットできます。

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この記事を書いた人

通信関係の開発やってます。重度難聴で両耳人工内耳を装用しています。

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