3/3は国際的な耳の日ですが、これは耳の形をしているからというのが私の理解でしたが、グラハム・ベルの誕生日からという説もあるそうです。電話の発明で有名なグラハム・ベルですが、音声学と聾唖教育(医学的に見て重度の聴覚障害を持つ子を対象とした教育)の第一人者でもあります。(ということを本日の講演会の挨拶の中で知りました。)
「最新プロセッサを装用した感想と日常生活での工夫」
会社員の方による発表でした。
⭐左:コクレア、右:メドエル装用
⭐聞こえ方の違い(どちらがいいというものでなく、個人的な聞こえとして)
メドエル:自然に、重厚に、繊細に
コクレア:明瞭に、際立って
⭐音楽のイメージだと
メドエル:オーケストラ
コクレア:ロック
⭐会場での実験
様々な楽器を1つずつと重ねていき、最後にギターをON/OFFすると違いがわかりやすいのがメドエル
⭐人工内耳で音楽は楽しめるか?
初めての楽器で3人の人工内耳装用者による演奏、30分で他の奏者とタイミングを合わせて奏でられた
⭐音楽を可視化するMIDI Trail
オーケストラを入力すると各楽器の成分を時系列に可視化するツール、これを見ながらだと自分がどの楽器が聞こえているかわかる
⭐最新機種の特徴
自動環境適用・接続性の向上(内容は割愛)
Forward Focus機能の紹介:映像で正面に滝の音が流れ、体の向きを変えると滝の音が静かになる事例紹介
→聞くためのハードルが下がった。学習に聴覚を活用する機会が激増
⭐よりよく聞くための工夫
ワイヤレスマイク(ロジャーなど)
音声認識(AIによるまとめ機能まである)
⭐技術革新と社会制度の充実により、「難聴者だから✕✕✕ができない。」から、「難聴者ですが✕✕✕ができます。」へ!
素晴らしい講演でした。講演者の方のイキイキした表情が素敵でした☺️
講演者の方へ質問させていただきました
質問:左右別々のメーカーの人工内耳(プロセッサ)で音楽は実際に脳内でどの様に聞こえるのか?
回答:マッピングして慣れてくると、各々の人工内耳(プロセッサ)で得意な音を拾い、頭の中で調和される感じ。
MIDI Trailについては、以下のURLを参照ください。iPhone/Android版もあるようです。
「いざという時に備えるー難聴をもつ方のための防災心得ー」 高野 先生(札幌医科大学)
⭐大災害では、障害者とりわけ聴覚障害者が取り残されることが多い
⭐支援が受けられにくいのと、聴覚障害者自身も嫌な思いや自ら申し出れず自宅にいるケースも
⭐被災者には3つの権利がある
⭐能登大地震における聴覚障害者の避難状況
・石川県の9つのろう関係団体で安否確認
・広い地域の中で4人の手話通訳の内現地滞在してたのは1人
・補聴器の電池切れで周囲へ依頼し辛い
・電話リレーサービスからタブレット支援
⭐台風19号による長野県の被災
・災害対策側は発災直後には難聴者のニーズが把握できず
・難聴者はきちんと困っていることをアピール出来ない
・掲示物が多すぎて聞こえない人には何が重要かがわからない
⭐高野先生のグループでは冬季防災訓練に参加
・安否確認、ニーズ把握、音声放送の可視化
・訓練後にアンケートを実施
・昨年、札幌でシミュレーションを実施
・災害時の「自助力」が大切
・低体温症への備えを
⭐各自治体では予め避難困難者を登録し避難訓練を行っているので参加してほしい(但し今のところは手帳保持者のみ対象)
⭐個人情報の問題があり参加率は停滞している
午後の避難訓練参加者を対象に、お昼の弁当をいただきました。
クオカードも。防災に役立つものへ使わせていただきます。
防災訓練 AMED研究双方向性支援システム効果検証
「大学病院による、幅広い層の難聴者および関係者を対象に、災害時のニーズ調査を行い、遠隔診療システムをベースに双方向性支援システムを開発中。今回は防災訓練の中で支援システムの効果を測定・検討することで、システムの更なる向上を目指す。これからの自然災害時に難聴を持つ方が情報獲得や支援を要請し受けることを可能とすることを目的としています。」(「AMED研究双方向性支援システム効果検証 目的」からの要約)
⭐参加者はろう者、人工内耳、補聴器、オブザーバー(健聴者)
⭐全員、補聴器・人工内耳は外して参加
⭐訓練関係者は難聴者について特段知識のない前提
⭐避難用アプリ(上記、支援システム)を使う人とそうでない人に分かれて実施
まだ研究段階で他でも実施されるかもなので、訓練詳細は割愛します。
私は避難用アプリを使わないチームでした。以下、私の避難状況です。
⭐人工内耳外した途端に妙な緊張感。それまで災害時でも人工内耳があってスマホもあってと言うベストケースな想定しかしてこなかったことが走馬灯のように頭をよぎる
⭐誘導の人の声は当然マスクありで聞こえず、人工内耳のない私は自分の声が聞こえないのも不安になり、直ぐに聞こえないことを申し出れない
⭐困った顔をしてると、係の人が悟ってマスクを外してくれて安堵(言わなければいけないのはそのままに)
⭐いざ移動の場面になっても周りの人の動きを見てから自分も動き出す
⭐拡声器で指示が出るが、聞こえないことを申し出れない(自助力は?)
⭐その後、ホワイトボードに書き出され始めるが、全て書き終わる前に動き始めてしまい、指示通り動けない(少し見えた情報だけで勝手に判断してしまう)
⭐難聴に加えて近視だが、掲示板になかなか近寄れない
- 訓練ですら、この有り様で本当だったら一体どうなってしまうのだろうというのが正直な感想でした。人工内耳で聞こえる時は自身の行動にある程度自信を持てるけれども、外した途端にこれだけ気持ち的に弱くなってしまうとは。。(逆に言うと人工内耳がそれだけ自分を支え勇気づけてくれているということも改めて分かりました)
- 帰り際、同じ訓練参加者の方が声をかけてくれて、「周りの方とも意思疎通できないのはきつかった」「手話できる方は互いに意思疎通できるのを見て良いなと思った」。これも自分にとっては盲点でした。難聴者にとって、日常生活でも心理的な負担がかかりますが、災害時には更に心理的負荷は増幅されるのだと思います。
- 災害時にどうするかではなく、普段から聴こえ保障に対するバックアップを「自分で」考えることの重要性を感じました。災害時への対応は通常時の対応の延長であるべきなのだと考えるようになりました。
この機会をいただいた南先生はじめ各先生方、講演者の方、様々なサポートいただいた方に感謝いたします。ありがとうございました😊
今日いただいた付箋。普段肌身放さず持っていよう。
強力な振動で知らせてくれる安価な目覚まし時計です。
2つの時刻をセットできます。
コメント