補聴器買うならコストコ(Costco)は超おススメ [2023年10月版(初版)]

皆さんは補聴器をどこで購入されていますか?

有名メーカーの補聴器、それも優れた雑音抑制機能があるプレミアムモデルともなると片耳で50万円前後、両耳で100万円となります。これを数年おきに買い替えると考えると生活必需品とは言え、おいそれと出せる金額ではありませんね。

そんなあなたに、コストコ(Costco)で補聴器を購入することをお勧めします。コストコでは有名メーカーのプレミアムモデル相当が補聴器タイプにもよりますが両耳で20万円弱から購入することができます。
ここでは、なぜコストコなのか?を様々な角度から解説していきたいと思います。

販売されている補聴器の最新情報については以下の記事も参照ください。

目次

高品質な優良ブランド商品を出来る限りの低価格にて提供するアメリカ生まれの会員制倉庫型店です。商品は仲介の卸業者を使わず直接国内外のサプライヤーと取引をすると同時に、プライベートブランドの商品も多数揃えています。

コストコのホームページ より

コストコの利益は会員から徴収する年会費とほぼ同額だと言われています。つまり、商品を売って得られる利益はほぼゼロとなります。

米国における2022年の補聴器小売市場の15%はコストコで販売され、全米第2位の規模となります。1位は米国退役軍人省(VA)なので、米国の一般消費者に最も補聴器が売れたのはコストコということになります。米国の補聴器ユーザーからも高品質・低価格に驚きの声が上がっています。(Hearing Trackerなどの掲示板より)
もちろん、これは日本のコストコにも当てはまります。
それでは、コストコで販売されている補聴器のラインナップを見てみましょう。

メーカー商品名タイプ価格(両耳)価格(片耳)
JabraEnhance Pro 10RIC198,00099,000
PhilipsHearlink 9040 MNR TRRIC198,00099,000
Hearlink 9040 MNB TRBTE198,00099,000
REXTONBiCore C R-LiRIC198,00099,000
M-Core B-Li M/P/HPBTE158,000
コストコで販売されている補聴器(耳掛け型)の一部(2023年10月現在)

確かに価格は両耳で20万円を切っていますが、これが有名メーカーのプレミアムモデルなのか分かりませんね。
ここにコストコで販売されている補聴器の秘密が隠されています。まず、世界の補聴器メーカーを売上ランキングで見ていきましょう。

順位会社名市場シェアブランド
1Sonova19.6%Phonak, unitron, sennheiser
2William Demant13.8%Oticon, Philips, bernafon
3GN Store Nord12.6%ReSound, Beltone, Jabra
4WS Audiology12.4%Signia, WiDEX, REXTON
5Starkey11.2%Startkey
6Cochlear6.3%
補聴器(・人工内耳)メーカー売上ランキング(2021年)

コストコで販売されている補聴器の素性がだんだんはっきりしてきましたね。Jabraは ReSoundブランドを持つ GN Store Nord、Philipsは Oticonブランドを持つ William Demant、REXTONは Signiaブランドを持つ WS Audiologyが販売しています。(単にブランドを変えて提供するものも含みます。)

大手補聴器メーカーは、米国内の最大顧客の1つであり高品質が要求されるコストコへの売上確保のために、プレミアムモデル(高機能モデル)をサブブランドとすることで低価格で提供しています。
これに対して、他小売店向けへは自社ブランドのプレミアムモデルとして高価格を維持しています。

ここで、売上No.1の Sonovaからはコストコへ補聴器が提供されていないことが分かります。以前は Sonovaの フォナック(Phonak)ブランドやコストコのプライベートブランドである カークランド・シグネチャー(Kirkland Signature)として販売されていましたが、製品附属充電器の発火問題により、2022年11月に Sonovaはコストコから撤退しました。

ここまでは、価格についてお話してきましたが、コストコで補聴器を買うメリットはそれだけではありません。
以下に挙げる強力な返品・保証ポリシーがあり、安いだけではなく安心・安全に購入することができます。

  • 有名メーカーのプレミアムモデルが両耳で約20万円から購入できる。
  • 返品期間:6か月以内
  • 修理保証期間:3年 3年というのは他小売店で販売されているプレミアムモデルと同等の保証期間です。
  • 紛失保証期間:2年 但し、警察への遺失物届出が必要で片耳のみ、1回だけ保証されます。

デメリットについては残念ながら、2022年末以来 Sonovaがコストコから撤退してしまったため、Phonakを扱っていないことについては対策がありません。長年、Phonakを使用されており今後もという方にはコストコは対象外となってしまいます。今後、再びコストコで販売されることを願っています。

  • 世界でもっとも売上の大きいPhonak製品を扱っていない。
  • コストコ年会費(4,840円)が必要。
  • 試聴による貸出は数時間でコストコ倉庫内のみ。
  • 店舗が駅前などではなく、必要な時にすぐに調整や修理に出したりできない場合がある。

補聴器は毎日除湿しましょう。除菌もしてくれます。

コストコで販売している補聴器メーカーについてお話ししましたが、ここでは補聴器本体についてお話させていただきます。各補聴器の機能を詳細に説明するのではなく、補聴器を開発したメーカーの事業や開発ポリシーなどについてお話したいと思います。(機能詳細については改めてお話ししたいと思っています。)
下記の補聴器は何れもコストコでのみ販売していることに注意してください。各補聴器のベースモデルについては、私自身もWhite paperを参照・比較しています。

メーカー
(親会社)
商品名タイプ価格(両耳)価格(片耳)ベースモデル
Jabra
GN Store Nord
Enhance Pro 10RIC198,00099,000ReSound OMNIA 9
Philips
William Demant
Hearlink 9040 MNR TRRIC198,00099,000Oticon real 1
Hearlink 9040 MNB TRBTE198,00099,000
REXTON
WS Audiology
BICore C R-LiRIC198,00099,000Signia AX7
M-Core B-Li M/P/HPBTE158,000
コストコで販売されている補聴器(耳掛け型)の一部(2023年10月現在)

Jabra Enhance Pro 10

Jabraは親会社である GN Store Nordの GN Audio部門の企業です。ワイヤレスフォンで馴染みのある方もいらっしゃると思います。GN AudioとGN Hearingは統合される見込みで、ワイヤレス製品(Jabra)と補聴器製品(ReSound)の融合が進むことが予測されます。

Jabra Enhance Pro10は、同じくGN Hearing部門のプレミアムモデルである ReSound OMNIA 9をベースに開発されました。ReSoundの補聴器は周波数ごとの聞こえを強くするため、マイク・スピーカー処理を強化しています。レシーバ部に3番目のマイクがあり指向性を高め音を明瞭にします。
2023年11月、米コストコでは、ReSound Nexia(Auroracast対応)がベースモデルと思われる Jabra Enhance Pro 20が発売されました。

私が過去にReSound製品を使用していた際は音量がダイナミックな印象を持ちました。補聴器にパワーを求める方向けかもしれません。

ReSoundはBluetoothへの取り組みも他社へ先駆けており、OMINIAの次期製品:Nexiaでは次世代Bluetoothである LE Audioを搭載しています。また、ReSoundのマルチマイクやテレビストリーマーなどの周辺機器が豊富で他メーカーと比較して安価なため、トータルコストも抑えられます。
Jabra Enhance Plusという名前が非常によく似た製品がありますが、こちらはOTC補聴器(店頭販売されている補聴器でセルフフィッテイングが前提となります。OTC補聴器についてはこちらも参照ください。)となりますのでご注意ください。

あわせて読みたい
OTC補聴器という選択 – 新しい補聴器の在り方 – OTC補聴器とは 最近、米国で活況を帯びているOTC補聴器について、制度による成り立ちから日米市場の状況を踏まえ、補聴器を紹介させていただきます。OTC補聴器の対象は...

Philips Hearlink 9040

William Demant傘下の Oticonは Philipsブランドに変えて製品を提供したり、Philipsは Wiliam Demant傘下のbernafonを自社ブランドとして製品を供給しています。

Philips Hearlink 9040は、William Demantのプレミアムモデルである Oticon Real 1とハードウェアが共通であると言われています。(ソフトウェアは異なり聞こえと動作が一部異なるようです。搭載されているDNNの学習サンプルが違うという説もあります。)
Oticonは「ブレインヒアリング(BrainHearing)」を特徴としています。これはAI搭載により補聴器装用者の周り全方位に音の探索を行い、ターゲットとなる音へフォーカスするといった、脳へ負担のかからない補聴器とされています。

Oticonは子供のころから20代までお世話になっていました。音が柔らかく周りの音が自然に聞こえる感じがしました。

Jabra Enhance Pro10との対比では、Jabraが指向性への取り組みを重視しつつ、補聴器使用者がリモコンで周囲環境に合わせるのに比べて、Philips Hearlink 9040は補聴器自体で周囲環境に合わせるという違いがあります。

ベースモデルとされるOticon補聴器については、以下の記事も参照ください。

あわせて読みたい
Oticon 補聴器ユーザーの聴取意図を理解し、それに応じて対応できる革新的な新しい補聴器 Intentを発表 ... Oticonは、補聴器ユーザーの聴取意図を理解し、それに応じて対応できる革新的な新しい補聴器を発表します。困難で騒がしい環境でも、Oticon Intent により次のことが可...

REXTON BICORE

REXTONの親会社であるWS Audiologyは傘下にSignia、WiDEXなどを持ち、Signiaの補聴器は指向性・雑音抑制に優れており、音声がクリアに聞こえること言われています。

REXTRON BICOREは Signiaのプレミアムモデルである Signia AX7と同等であると言われています。音声と背景音に対して、それぞれ1つのプロセッサで処理するため音声を浮かび上がらせクリアな聴こえにするとされています。また、音声に対して極力圧縮をかけないため、伸びのある音声と言われています。

AX以前のモデルは私も使用していましたが音が少し硬めで明瞭度が高い補聴器でした。

ここでは、ベースモデルの2024年3月現在の発売状況、米コストコでの販売状況などから、今年日本のコストコで登場する補聴器について予想(赤字箇所)を立ててみました。(競馬の予想並みなので、あまりアテにしないでくださいね。。)Jabra enhance Pro 20 / Philips Hearlink 9050 / REXTON REACH と言った最新モデルが春から夏にかけて相次いで登場しそうな気がしています。

前モデル(発売日)新モデル(発売日)
Resound (ベースモデル)Omnia (2022.06)Nexia (2023.10)
Jabra Enhance Pro
(米コストコ)
Pro 10 (2023.03)Pro 20 (2023.11)
Jabra Enhance Pro
(日コストコ)
Pro 10 (2023.09)Pro 20 (2024.05?)
Oticon (ベースモデル)Real1 (2023.03)Intent (2024.02)
Philips Hearlink
(米コストコ)
9040 (2023.04)9050 (2024.03?)
Philips Hearlink
(日コストコ)
9040 (2023.05)9050 (2024.04?)
Signia (ベースモデル)AX (2021.10)IX (2023.10)
REXTON
(米コストコ)
BiCORE (2022.03)REAH (2024.03?)
REXTON
(日コストコ)
BiCORE (2022.??) 調査中 REAH (2024.08?)

コストコで販売されている補聴器について、お話しさせていただきました。コストコで補聴器購入を検討される方は、3つのメーカのみならず、是非ベースモデルとの聞き比べをしてみてください。Hearing Trackerなどの掲示板ではその違いはほとんど感じられないとする方が多いように見受けられます。

皆さまのより良い聴こえライフを願っています。

強力な振動で知らせてくれる安価な目覚まし時計です。
2つの時刻をセットできます。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

通信関係の開発やってます。重度難聴で両耳人工内耳を装用しています。

コメント

コメントする

目次